読書

「廃墟の歩き方 探索篇」栗原了 監修 イーストプレス(2005.4.3読了)

滅び逝くものの美しさが好きで、小林伸一郎さんの廃墟の写真集にもうっとりするのですが、この本は正直言って苦いものを食べてしまったような印象。どうもかすかに漂う”肝試し感覚”に違和感を覚えるのかもしれません。執筆者某氏のサイトにあった、私の好き…

「東京現代建築ほめ殺し」建築三酔人 新潮OH文庫(2005.3.28読了)

あまり現代建築の本は読んだことがなかったのですが、知識のない私でも爆笑しまくり。”ほめ殺し”とはいうものの、そんなに毒も強くなく、というか、建築業界人は言えなくても、シロウトにとってはそうそうそうなのよ、とうなづくようなことが書かれていて面…

「進化した猿たち」1〜3 星新一 ハヤカワ文庫JA(2005.3.23 再読)

アメリカの1コマ漫画についてのあれこれ薀蓄と紹介。久々に読み返したのですが、やっぱり面白い。星さんらしいブラックな切り口が好きです。しかし、これって連載は40年前になるのですね。なのに、ちっとも古びていないところが面白い。古典的な笑いのツ…

「ハイペリオン」ダン・シモンズ ハヤカワ文庫SF(2005.3.14読了)

ダン・シモンズ著,酒井昭伸訳 ハヤカワ文庫SF 今更ながらハイペリオン。たしかに読むとシュライクと口走りたくなります(笑) 正直、上巻はいまいちのれなかったのですが、下巻に入ってカジシンぽいレイチェルの話やサイバーパンクなジョニィの話あたりでぐっ…

「カラー版 近代化遺産を歩く」増田彰久 中公新書(2005.2.28読了)

美しい本。といっても、所詮新書の紙なので印刷の質はいまいちなのですが、増田さんの美しい写真と、日本の先達たちが近代へ至る途中に作り出した美しい「未来」の欠片が、みっしりと詰まった一冊。ダム。橋梁。煙突。新しく美しく輝かしい何かを作り出そう…

「帝都復興せり! 『建築の東京』を歩く 1986〜1997」松葉一清 朝日文庫(2005.2.8読了)

asahi.comのコラムは読んでいたのですが、松葉一清さんって、建築がご専門の方だったのですか・・・。関東大震災後に自由な建築物が生まれた経緯が、なんとも面白いのです。そして、建築にこめられた主義主張の激しさに驚くばかり。しかし、現存する建築物が…

「すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた」ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著, 浅倉 久志 訳,ハヤカワ文庫 FT(2005.2.3読了)

ティプトリーのプラチナファンタジー。剣と魔法のファンタジーだったらどうしよう、と思っていたのですが、幻想文学系ですね。海にまつわる幻想譚。こんなにティプトリーって、風景描写が巧かったっけ?と思うことしばし。すっかりキンタナ・ローの海の虜に…

「あなたの人生の物語」テッド・チャン著,浅倉 久志 他訳 ハヤカワ文庫SF(2005.1.30 読了)

超人類、意識、言語、そして、神。ひさしぶりにガツンと来るSFを読みました。しかも、すべての短編がレベル高し。どちらかといえばガジェット好きな私が、こうくるかー、というセンスオブワンダーにタメイキ。表題作は、不思議な語り口の謎が明かされていく…

「日暮らし」宮部みゆき(2005.1.3読了)

「ぼんくら」の後日譚にあたる短篇&長篇。弓之助クンやおでこちゃんに再会できて嬉しい。長編は推理小説としての出来はイマイチですが、ってか犯人はすぐ察しがつくし、事件の真相はアレですが、宮部捕物作品は庶民のささやかな生活を丁寧に描くところに味…