「廃墟の歩き方 探索篇」栗原了 監修 イーストプレス(2005.4.3読了)

滅び逝くものの美しさが好きで、小林伸一郎さんの廃墟の写真集にもうっとりするのですが、この本は正直言って苦いものを食べてしまったような印象。どうもかすかに漂う”肝試し感覚”に違和感を覚えるのかもしれません。執筆者某氏のサイトにあった、私の好きな某建築物に忍び込んだ際の写真がさらに印象悪し。その頃には既に修復計画が公表されていたハズなのに・・。
で、廃墟というとかなり古いものを指すのかと思いきや、ほんの数年で荒れ果ててしまうものなのですね。滅びる前の姿を知っている場所があって、どきりとしたりして。やはり凄みがあって美しいのは、かつて深夜ドラマの舞台となっていて強烈なインパクトがあった軍艦島。美しい建物が朽ちていく名残の欠片、摩耶観。逆に、恐いのはやはり病院系。そして、生活していた残滓が濃厚に満ちている廃屋。私には、近代化遺産を愛でている方が向いているのかも。

廃墟の歩き方 探索篇

廃墟の歩き方 探索篇