「すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた」ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著, 浅倉 久志 訳,ハヤカワ文庫 FT(2005.2.3読了)

ティプトリーのプラチナファンタジー。剣と魔法のファンタジーだったらどうしよう、と思っていたのですが、幻想文学系ですね。海にまつわる幻想譚。こんなにティプトリーって、風景描写が巧かったっけ?と思うことしばし。すっかりキンタナ・ローの海の虜に。ストーリーは非常にオーソドックスながら、異国情緒あふれる情景とウィットの効いたセリフ回しが見事。とくに「リリオスの浜に流れついたもの」はなんともツボをくすぐる巧さを感じさせるのです。難を言えば、このイラストは不要。